2015年09月29日

ノイズフィギアについての考察−1

以前からプリアンプの実験をしていますが、どうも測定したNF値に納得がいかないことが多々有ります。

以前は測定に、NFメーター8970Bとノイズソース346シリーズを使っていました。
(現在はN8973AとN4001Aの組み合わせです)
結果的には346シリーズのノイズソースに大きな測定誤差要素を含んでいる事が解りました。

これはメーカーの技術資料を読めばよく解りますが、アマチュア無線等で使用されるプリアンプはNFが重視されています。
但しNF重視でプリアンプを製作すると、入出力のインピーダンスが大幅に悪化します。
これは使用している素子(HEMT等)がNF最良の時に50オームにならないためです。

このような状態のプリアンプをENR15dBも有る346B、346C等のノイズソースを使うと、測定値は大抵ほんとうの値より良い値が示されてしまいます。
たとえは実際はNF0.5dB度でも測定値は0.2dBなんて値が出たことも有ります。

これは、NF計がAgilent N8973A等の現行機でもノイズソースがおこす誤差の影響を大きく受けてしまいます。
最近はメーカー(キーサイト)のHPでこの誤差を計算できるようになりました。
下記サイトを参照
http://rfmw.em.keysight.com/NFUcalc

例えばN8973Aに346Bを使用した場合、おおよそプラスマイナス0.25〜0.3dBの誤差を必ず含んでいます。
(校正した機器で適切に測定した場合。条件が適切で無いともっと多くの誤差が出ます。)

*346Bでもアジレント時代の製品とHP時代の製品がありますが、経験的にはHP時代の黒いノイズソースの方が測定誤差が大きくでるように感じます。

多くのプリアンプ、特にキャビティタイプのプリアンプは、入力のインピーダンスが50オームから大きく離れているので、本当のNF値より測定値がかなり良い値を示してしまいます。
これはゲイン特性とは関係なく発生します。
もちろんノイズソース等は校正されていなければなりません。

また346Bは気温の影響も大きく受けます。更に測定機自体の温度にも大きく影響を受けます。

実際にNF値が非常に良いとされるプリアンプを測定してみると、入力のインピーダンスが大幅に悪化している物が多々ありますし、実際に測定してみるとNF値が思ったより良くない場合が多々あります。

ちなみに346A(ENR5dB)を使用すると、測定誤差はかなり改善されますが、それでも計算上NF0.2dB程度の誤差は残ります。

アマチュアでもNF測定の誤差を最小にするために、ノイズソースとプリアンプの間にアイソレーターを挿入して、プリアンプからの反射を抑えて、見かけ上のSWRを低くして測定されている方もいらっしゃいます。
この方法ですと、見かけのSWRが非常に低いので、測定誤差を減らすことが出来ます。
1.2GHz帯では測定誤差を、346Bでも0.13dB程度まで下げることが可能です。
(N8973Aを使用し、出力側のインピーダンスも良好な場合)
この場合は挿入損失が入るので、正確な補正値を入れる必要が有ります。
その挿入損失の測定誤差は0.1dB以内でないと、その誤差がNF測定値に直接影響します。

特にマイクロ波帯のNF測定にはダウンコンバーターを使うので、インピーダンスの影響を最小にしないと、その結果は真値と大きく異なります。

またノイズソースのENR値の誤差は直接測定誤差につながります。
正しく校正していなければ、測定誤差は更に大きくなります。
(システムのキャリブレーションではENR値の誤差は除去できません)
8970A,B等ではもっと誤差は大きくなります。

先程紹介した、キーサイトの「Noise Figure Uncertainty」でパラメーターを色々と変えてみると、システムの測定誤差がよく解ります。

ノイズソースのことですが、「346B」の代わりに「N4001A」を使用すると、測定誤差は非常に小さくなり、入力インピーダンスを合わせた場合、その誤差は0.09dB程度まで下げることが出来ます。

NF測定を追い求める方は、ノイズソース選びは重要なファクターになります。

*Noise Figure Uncertaintyでの計算上の値を使っていますので、実際の測定誤差はもっと多いかも知れません。
*個人的な意見も多く含んでいますので、参考程度にして頂ければ幸いです。


posted by 7L1WQG at 20:40| Comment(0) | プリアンプ・LNA

2015年09月26日

1200MHz帯トランスバーターの製作-4


基板の設計がおわり、パターンが出来ました。

trv1200-144m-1.jpg

TX側に2段のBPF、RX側に1段のBPFを設置しました。
各々にLOのトラップフィルターが入っています。
TX側もRX側も2段増幅としました。
その為に基板がかなり大きくなってしましました。
基板サイズは5.6GHz帯のTRVと同じサイズです。
TX、RX共にMMICを使っています。
基板はFR−4で製作します。

基板が出来上がりましたら、再度実験してみます。

次はLoの設計をしなければなりません。
まだまだ続きます・・・・


posted by 7L1WQG at 20:20| Comment(0) | トランスバーター

2015年09月22日

1200MHz帯トランスバーターの製作-3


IF:144MHzとして設計を考えると、どうしても狭帯域のBPF
バンドパスフィルターが必要になります。
一般的にはキャビティタイプを使用しますが、どうしてもサイズが大きくなります。
業務用では、波長を短縮するためにセラミックを使ったキャビティタイプのBPFもあります。
しかし、アマチュア的には入手は難しく、価格も高価です。

今回は基板のパターンで比較的狭帯域のBPFの設計をしてみました。

実験に使用したのは、1200MHzのLNAに使っているBPF部分です。
このBPFは通過損失を少なくするために、かなりブロードで設計していますので、今回は特性重視で実験してみます。

まずはBPFのモノポールの離隔を大きく取り、帯域を狭くします。
調整した所、通過損失が2.5〜3dBで狭帯域化出来ました。
しかしLo周波数の減衰が15dB程度しかなく、まだ不順分です。

そこで、トラップフィルターをBPFと一緒に結合させることにしました。
その結果、満足は得られるレベルまで減衰させる事ができました。
トラップフィルターは急峻で、基本周波数にあまり影響が無いようにしました。

LNA基板の一部を利用して、色々とカットしています。

trv1200-144m-3.jpg

ネットワークアナライザーで測定した結果です。

trv1200-144m-2.jpg

最終的には1280MHz、1295MHzでの通過損失は約1.6dB
1150MHzの通過損失は39dB
1005MHzの通過損失は37dBとなりました。
2GHz帯での通過損失は約30dBですが、LPFを挿入するので、問題は無いと思います。

この結果を元に、1200MHz帯のトランスバーターの設計をしてみます。
但し、基板パターンでBPFを設計したので、当初の計画より基板サイズが大きくなりそうです。




posted by 7L1WQG at 13:32| Comment(0) | トランスバーター

2015年09月21日

1200MHz帯トランスバーターの製作-2


ここの所実験している1200MHz帯のトランスバーターですが、IF430MHz帯の場合
下記の問題が発生しました。

一般的に、ミキサーにLo,IFを入力すると出てくるRF波形は
Lo:860MHz IF:435MHzとした場合
・Lo+IF=12950MHz
・Lo-IF=425MHz
この2波は強く出てきます。

それ以外に
・Lo=860MHz
・2×Lo=1720MHz
これはいわゆるローカル漏れです。

この辺までは不要な周波数が離れているので、除去することは安易です。
しかし、
・2×Lo-IF=1285MHz
この不要な周波数は1200MHz帯の帯域内なので、除去は殆ど不可能です。
これ以外にも不要な周波数は出てきますが、この周波数だけは除去出来ません。
MMIC型のミキサーは不要な周波数の発生は少なく安定しているので採用して来ました。
しなしながら、今回は色々調整しても部品を変えても、スプリアスを法的なレベルをクリアすることが出来ず、IF430MHz帯はあきらめました。
実際実験してみると、設計値、カタログ値では解らない現象が発生するので、1200MHz帯と言えども難しいものです。

そこで、もう一度設計を見なおして、最も一般的なIF周波数を144MHz帯で再設計をすることにしました。
この辺は一般的に使われている方式で
Lo:1150MHz
IF:145MHz
RF:1295MHz
としました。
また同時に
Lo:1135MHz
IF:145MHz
RF:1280MHz
も使用できるように考えます。

1200MHz帯にLo周波数が近いので、問題になるのは
Loの1150MHzとLo−IF=1005MHzの2波です。
この2波はIF周波数145MHz分程度しか離れていないので、除去にはチップタイプの小型フィルターでは難しくなります。
特注でセラミックBPFフィルターを作る方法も有りますが、価格的に難しく高価なものになってしまいます。
キャビティ型フィルターを使えば簡単ですが、小型化を目指していますので、これも採用は厳しいです。
どうすれば小型で安価に製作できるかもう少し考えてみます。
とにかくトランスバーターはローカル発信器とミキサーとフィルターが確りしていれば、安定動作します。
この辺のチョイスが成功の要になると思います。

前回設計した基板は2400MHz帯でも使用できるので、近いうちに2400MHz帯トランスバーターで使って見ようと思います。



posted by 7L1WQG at 15:23| Comment(0) | トランスバーター

2015年09月08日

初心者の為のマイクロ波通信 入門編-3


1200MHz帯より上の周波数2400MHz帯のお話です。

アマチュア無線では1200MHz帯の上は、2400MHz帯となります。
以前はマイクロ波通信と言えば、2400MHz帯から始める方が多かったようです。
しかし、現在は2400MHz帯で無線LAN等が多く使われるようになり、使いにくい
バンドとなってしまいました。

マイクロ波=SHF帯と言われますが、実は2400MHz帯はUHF帯です。
しかし、2400MHz帯になると、電波の性質的にはSHF帯に近くなります。
また、2400MHz帯までは八木アンテナが使用できるので、扱いやすいバンドでも
有り、UHF帯、SHF帯の両方の特性が有るバンドとも言えます。

1エリアではコンテストになると、2400MHz帯でも多くの局がQRVしてます。
また、思ったより遠くまで通信できるのも2400MHz帯の特性です。

2400MHz帯まではメーカー製の無線機が発売されていた事もあって、比較的に気軽にできるバンドです。(TM-2400、IC-970等)
また自作するにも、現在ではデバイスの入手性もよく、高価な測定器が無くても、製作出来るバンドでも有ります。

2400MHzまではSWR計も販売されているので、アマチュア的には何かと楽です。
いわゆる業務用の測定器でも3GHz以下のものであれば、それ程高価ではなく、入手しやすいので、自作派にもお勧めのバンドでは有ります。

しかし、2400MHz帯は都市部での無線LAN等の混信は多く、その点では覚悟が必要です。
山とかで移動運用するときは混信はほとんど感じないので、移動運用向きとも言えます。

この周波数帯では、アンテナがパラボラか八木アンテナか悩むバンドでも有ります。
パラボラアンテナで有れば、直径90cm以上がお勧めです。
八木アンテナでは30エレメント以上がお勧めです。
(もちろんこれ以下のサイズのアンテナでも十分楽しめます)
最近では無線LAN用のアンテナが非常に安価に販売されていますので、これらを流用するのも良いでしょう。

同軸ケーブルは「SFA」タイプがお勧めで、固定では10D-SFA、移動運用では5D-SFAで十分です。
コネクターは一般的にはN型が使われています。

もし初めて2400MHz帯で交信したいと思うのでしたら、メーカー製の無線機を中古で入手することをお薦めします。
但し、元々の販売数が少ない無線機なので、中古で見つけるのは困難です。
中古市場ではTM-2400(ケンウッド)が7〜8万円程度で取引されています。
IC−970(2400MHzオプション付き)は非常に少なく、中古でも20万円近くで売買されているようです。
中古のトランスバーターは初心者には少し難しいかと思います。
(周波数安定度、スプリアス、パワー等々が調整できる環境と技術力が必要です。)
近いうちに初心者向きのトランスバーターを設計してみます。



posted by 7L1WQG at 21:55| Comment(0) | アマチュア無線

2015年09月07日

初心者の為のマイクロ波通信 入門編-2


前回では1200MHz帯で交信しよう、と言う内容でしたが、では具体的に無線機は何を使えば良いでしょうか。

中古では
一番のお勧めの機種はケンウッドの「TH-59」ハンディ機です。
この機種は比較的小型で、受信感度が非常に良いのが特徴です。
また、電池でも十分運用することが出来ます。
同じシリーズで「TH-89」デュアルバンド・ハンディトランシーバーもお勧めです。
ただし、どちらの機種も人気機種で、中古で見かけることが少ない機種です。
この機種はマイクロ波トランスバーターの親機として使用されている方も多くいらっしゃいます。
また、連絡用としても非常に重宝します。

では、固定機、モービル機でのお勧めは、
固定機では「IC-1275」がお勧めです。
モービル機では「IC-910」「IC-911」がお勧めで、どちらの機種も高感度なのが特徴です。
但し「IC-910」「IC-911」は両方共に1200MHzオプション入りが必要です。
オプシションのみの入手は非常に困難で、出来るだけオプション入りの中古品を探しましょう。

FMモービル機ではケンウッドの「TM-833」が小型でお勧めです。

その他では、「TS-2000」「IC-9100」等のオールバンドの固定機がありますが、両方共に
1200MHzオプションが必要です。
どちらも性能では定評がありますが、比較的高価です。
中古でも15万円〜25万円程度でしょう。(オプション入り)
現在は新品で購入可能です。

新品のハンディ機ではアルインコの「DJ-G7」があります。実売価格は3万数千円で販売されているようです。

もっと古い機種では「IC-1271」「FT-736(オプション)」「TS-790(オプション)」等々が有りますが、
古い機種は、修理が不可能だったり、周波数ズレ、感度悪化、変調の異常が有ったりしますので、初心者にはあまりお勧めできません。
もし購入されるときは、十分に整備されたものか、信頼できる方から購入する方が良いでしょう。

その他、旧マランツの製品も多くありますが、修理等は出来ませんので、その辺は注意が必要です。

紹介した機種以外にも、ヤエス、アイコム、ケンウッド等の旧機種で1200MHz帯のトランシーバーが多数あります。
しかし何れも旧機種なので、修理が出来ない物が殆どですので、初心者にはあまりお勧めできません。

1200MHz帯でのコンテストなどで、よく感じることですが、旧機種を使用していると思われる局で、大きく周波数ズレを起こしている局があります。
1200MHz帯の旧型トランシーバーは、経験的にも周波数ズレしている物が多々あります。
もし中古で無線機を購入した時は、周波数を確認したほうが良いでしょう。
周波数の確認には、正確な周波数カウンターが必要なので、この辺はOMさんに相談されると良いでしょう。

*親機:マイクロ波で周波数変換する元の無線機の事。IFの周波数帯が親機の無線機の周波数帯となる。
多くのトランスバータはIFが1200MHz帯なので、親機として1200MHz帯の無線機を使用する。何故1200MHz帯が多く使われるのかは後日解説します。


posted by 7L1WQG at 13:41| Comment(0) | アマチュア無線

2015年09月05日

初心者の為のマイクロ波通信 入門編-1


マイクロ波通信を始めたいと聞かれることが多いのですが、何から初めて良いのか解らないと質問されます。
そこで簡単に解説を始めたいと思います。

まず最初に1200MHz帯通信から始めましょう。

マイクロ波の基本は、今でも1200MHz帯です。
これは、多くのマイクロ波トランスバーター(アップバータ)は基本周波数を1200MHz帯としている為、また連絡周波数として1200MHz帯を使うことが多いので、もし1200MHz帯の無線機をお持ちでないのでしたら、まずは1200MHz帯のトランシーバー、アンテナ、SWR計は必ず揃えましょう。

トランシーバーは新品でも中古でも構いません。また固定機とハンディ機は各1台あると、後々便利です。
もちろん、モービル機でも構いませんので、必ず1台は用意しましょう。

無線機、アンテナが用意出来たら、まずは1200MHz帯で交信してみましょう。

1200MHz帯は430MHz等と比べてユーザー数が少ないので、やたらCQを出しても応答が無いかもしれません、そこで狙い目はコンテストです。
最近はコンテストで1200MHz帯は賑わっています。
多くの局と交信できる可能性があります。

さらに、各地で行われている1200MHz帯のロールコールにも参加してみましょう。
1200MHz帯のロールコールに参加している方の多くは、マイクロ波通信も行なっており、色々な情報も聞ける事が多くあります。

1エリアでは毎週土曜日の夜8時より、埼玉県戸田市のJI1CBSさんがロールコールを行なっています。
1エリア内であれば、誰でも聞くことが出来ると思います。
周波数は1295.20MHzです、合わせて2400MHz帯のロールコールも行なっています。
また他のエリアの方は、このロールコールをインターネットでストリーミング放送していますので、その内容をリアルタイムで聞くことも出来ます。

ストリーミング放送は下記です。(ユーストリーム)
1200&2400 1エリアロ−ルコ−ル

1200MHz帯の通信を通じて、思わぬ方向から反射通信が出来たり、ケーブルのロスが大きいことが解ったり、見通し外通信やアンテナの設置条件、等々が理解できると思います。

ハンディ機をお持ちであれば、山に行って移動運用しましょう。
1エリアであれば関東平野が見える山に行きましょう。
標高は関係ありません、「関東平野が見える」事が重要です。
アンテナは小さな八木アンテナ等があると便利です。
日曜日で有れば、多くの局から呼ばれると思います。

1200MHz帯のアンテナですが、可能であればモノバンドのアンテナを使いましょう。
デュアルバンド、トリプルバンドのアンテナは残念ながら1200MHz帯では、カタログ性能以下の場合が多く、性能が十分では有りません。
モノバンドアンテナはGPや八木アンテナが有りますので(中古でも構いません)、是非つかってください。
多くの方が1200MHzは飛ばないと思っていますが、その原因にアンテナの性能や、同軸ケーブルの性能が非常に大きく影響しています。
逆に無線機の性能で通信距離が大きく変わることはあまり有りません。(同じ条件の場合)

同軸ケーブルですが必ず低損失ケーブルを使いましょう。
5D−2V等の2Vケーブルは使えません、最低でもFBケーブルで、お勧めはSFAケーブルです。
これは、今後マイクロ波通信に移行する場合でも、必ず役に立ちますので、SFAケーブルをお薦めします。
コネクターはN型です。M型はお勧めできません。
1200MHz帯ではSMA、BNC、N型のコネクターを使いましょう。

長くなりましたが、また少しづつ記載していきたいと思います。

posted by 7L1WQG at 15:25| Comment(0) | アマチュア無線