症状は、「電源を入れても動作しない、LEDも点灯しない」と言う事でした。
電源を入れてみると、確かにLEDも点灯しません。
その上、電流も全く流れません。
このEM-2は97年製造で、この時代のタカハシ赤道儀の電源はセンター・マイナスです!!
間違ってセンタープラスのアダプターを接続すると、瞬時に壊れます。
内部の基板を見てみると、逆接防止や、過電圧防止等の保護回路は有りませんでした。もちろんヒューズも有りません。
この時代は、電池での駆動が一般的でしたので、このような簡易な回路になっていたのかもしれません。
電源と各ICが直結されていました。
分解してみると、まずスイッチが壊れていました。
スイッチをパスして接続しても、動きませんでした。
ステッピングモーターの各抵抗値を測定すると、約70Ωなのでステッピングモーターは大丈夫そうです。
やはり、電源を逆接をしたのでしょう。
この時代のデバイスは殆どディスコンで入手は困難です。
たまたま代替になりそうな部品が有ったので、早速購入して修理してみました。
基板は両面のスルーホールなので、まずICの足を全てニッパーで切断して、その後に残った足を、1本1本外していきます。
基板を綺麗にして、ICを付け替えます。
取り敢えずモーターの代わりに100オームの抵抗負荷で出力波形をオシロで見てみました。
一応、大丈夫そうでした。
せっかく分解したので、電源をセンタープラスに改造して、更に保護ダイオードとレギュレーターを基板の裏に追加しました。
再度基板を赤道儀に組み込み、モーターの回転を計測しました。
問題無く動作しているようです。
これで、修理は完了としました。
ネット等で検索すると、この回路構成はミザールやケンコーのモータードライブでも使用されているようです。
全く同じ構成の回路のように見えるので、誰かが設計した物を各社で使っていたのでしょうか。
基板上には、回転数(分周比)が選べるようになっていました。
モーターのギヤ比が変わっても、汎用性を持たせたのでしょう。EM-2は1/500のギア付きモーター(ユニポーラ)です。
ちなみに水晶は三田電波製と思われます。
負荷容量は27PFでした、ここにトリマーを付ければ、ステッピングモーターの回転数の微調整が可能になると思います。
修理は自己責任で行ってくださいね。
【天文の最新記事】