2020年04月10日
UTV-5600B2の修理
今回は旧型のUTV-5600トランスバーターを修理しました。
(前面のパワメーターが大きいタイプ)
修理はかなり大変でした!!
症状は、電源を入れると、送信状態になったままになるので、修理してほしいとの事。
このトランスバーターはとても綺麗で、殆ど使ってない様子です。
内部の写真(LO関係)
まずは電源ONでやはり送信状態。
内部を見てみると、電解コンデンサーの液漏れが発生している。そのせいで、電源部の多くが不良でした。
かなり液漏れしている
ケミコンをいつものOSコンに交換して、7660や78L05も交換して、再度動作確認。
送信状態は直り、キャリコンも正常動作になった。
ケミコン等交換後
ドレイン電圧とゲートバイアスも正常な値になった。
送信してみると、波形が変、スプリアスも多い
パワー部を見てみると、MGF0904の1段アンプ。
この部分のコンデンサーも液漏れしているので、交換する。
パワー部や、LO部、各段のGaAs-FETを再調整してみる。
受信は良好
パワーアンプ部 見た目は綺麗
しかし、送信パワーは出ているが、送信波形に変調が乗っている。
更にキャリアの近くに、不安定な大きなスプリアスが有る。
CWモードで送信しているのに、波形に変調が乗っている
LO部の電源にコンデンサーを追加
しかし、状況は改善しない。
LOの波形は綺麗だから問題ない感じである。
切り分けするために、パワー段から順に切り離していくが、症状の改善は無い。
ミキサーだけでも、スプリアスが出ている。??
しかしLOの波形は問題ないので、ミキサー部のダイオードを疑ったが、これも問題ない。
親機?と思ったが、やはり問題ない??
SGから1280MHzを入れても、スプリアスが有る?
仕方が無いので、パワーアンプのRFは切り離しているが、ユニットを外してみる。
そうすると、スプリアスが止まる。!!
パワー部の何処かが発振していると思い、単体で調べるが問題ない。??
結局原因は、パワーアンプの外についている、7810レギュレーター。
7810の出力は外して、調査していたが、7810に無負荷でも電源が入ると、レギュレーターが発振しており、その発振波形が電源を逆流してLOの電源に変調をかけていたことが原因だった。
(リレーの電源と7810が接続されていた為)
もちろん、コンデンサー類は全て交換してあったが、関係なく発振していた。
こんな事は初めてだ!!
部品交換後のパワーアンプ部
ケースの外についているのが、7810レギュレーター (交換済み)
ここまでで3時間近く費やした。
7810を交換して、再度すべてを組み立てて、また調整。
今度は波形も綺麗だ、スプリアスも殆ど出ていない。
パワーも、受信感度も問題ない。
やはり初期型のUTV-5600は性能が良い。
これで、やっと修理終了。
修理後のスプリアス測定 殆どスプリアスは無い
いやはや、時間が掛かった。
posted by 7L1WQG at 00:00| Comment(2)
| トランスバーター
検索していたら貴局のブログにたどり着きました。
私は、川越のJL1TBP尼子と申します。
中古でマキ電機のUTV-5600Bを手に入れ、通電確認までできていました。アンテナとリグを繋げて電源つまみを回したところ、どこかがショートしたようで、以後電源が入らなくなりました。
貴局に修理をお願いすることは可能でしょうか?
ご教示をいただけますと幸いです。
代替部品が無く、代わりの部品を使って修理するとかなりの高額になってしまいます。また、新スプリアスに対応する為には大幅な改造も必要になりますので、申し訳ございませんが、お断りしておりますので、ご了承ください。