某メーカーの1200MHzリニアを修理して欲しいと、リニアが送られてきました。
症状は、定格表記が120Wと記載が有るのに、75Wしか出ないとの事です。
早速調べてみたところ、言われているように75W程度しかパワーが出ていませんでした。

(バードのエレメントは500Wを使用しています)
もちろん、古い機種ですので、各部が劣化してパワーダウンしていると思います。
内部構成は「M57762」パワーモジュールをウイルキンソン合成で2パラにして
更に3合成したものでした。

M57762は最大20Wの出力が得られるので、6合成で120Wとなるのでしょう。
但し、合成損失が有るので、良くても110W出れば上々と思います。
ちょっと気になったのは、外部電源線の細さです。
このパワーですと13.8Vで30A以上流れるので、かなり太い線でなければ、電圧
ドロップ(低下)が発生します。
外部電源線の赤黒線は見た限りでは、3.5SQもない感じでした。
電源電圧を13.8Vで10Wの入力をかけてみると、内部のリレーに入る前の段階で
すでに12V程度まで電圧降下していました。
リレーを通過した後、パワーモジュールの電源電圧は10V以下まで降下していました。
これでは、パワーが出るはずありません。(デバイスは長持ちしそう)
しかし、本体のパワーメーター表示は150Wになっていました。
内部の調整トリマーと更にちょっとした調整で85Wまでパワーが出るようになりました。
この時点で、電源線がかなり熱を持っていました。電圧がロスした分が熱になっています。
更にパワーを出すには、電源配線関係を直さなければならないので、大幅な改造しなければ
なりません。
持ち主の方が配線を改造しても良いといわれるので、次回は、配線の改造と調整をしてみたいと思います。