2022年04月15日

1200MHz帯LNAのゲインを変更

先程の1200MHz帯LNAのゲインを変更した物。
ゲインは約26dBです。
BPFの特性も良好でした。

lna1200ex-2.jpg
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1200MHz帯のLNA

新しく開発した1200MHz帯のLNA

1.2GHz帯で使用出来るHEMTが少なくなり、新たなpHEMTで回路設計をし直しました。

実験した所それなりの値が出たので、今後はこの回路になります。

lna1200ex-1.jpg

GAIN:21dB(可変可能 最大30dB)
NF:0.67
p1:20dBm
BPF内蔵型、同軸給電に対応、サージ保護

LNA-BPF1200EX.jpg

もう少し実験してみます。
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2022年03月17日

1.2GHz帯LNAを再調整

1.2GHz帯LNAを再調整して測定してみた。
 
まずまずの値が出た、最近のHEMTは凄い!
1294MHzでNF0.54dB ゲイン19dBでした。

TST00001.jpg
 
周波数が低い方がNFもゲインも良い様です、これはHEMTの性質による物です。
実験なので、BPF等のフィルターは入れていませんので、HEMTの素の性能です。
 
回路は同じで、定数のみの変更です。
(パターンが1か所間違っていた顔1(うれしいカオ)あせあせ(飛び散る汗)
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2022年03月07日

LNA用の汎用基板を製作

LNA用の汎用基板を製作したので、早速実験してみました。

20220307.jpg
 
本命のデバイスは、まだ届かないので、
手元にあった「MT4S104U」東芝のトランジスタで実験しました。
 
回路定数はかなり変更しましたが、パターンは問題無く、まあまあの性能が出ました。
特性は広帯域になります。
 
400〜1500MHzが実用範囲で、1200MHz帯ではゲイン20.6dB NF1.0dBでした。
430MHz帯ではゲイン25.8dBでした。
 
トランジスタなので、この程度です、回路を追いこめば、もう少し良い値が出るかもしれませんが、基板を汎用にしたので、これ位でしょう。
 
消費電流は回路全体で40mA程度でした。
基板サイズは25.5×24mmです。
基板はちょっと高級なFR-4で製作しました。
実装した基板(ケース無し)でしたら、比較的安価に提供できそうです。
 
測定結果(ゲイン) 
433MHz:25.8dB 500MHz:25.5dB 800MHz:23.3dB
1000MHz:22.0dB 1295MHz:20.6dB 1500MHz:19.6dB
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2019年11月13日

1200MHz帯プリアンプの製作

1200MHz帯プリアンプの製作をしました。

最近、1200MHz帯のプリアンプの問い合わせが多く、新たにプリアンプ基板を設計しました。

簡単な調整で、性能が出るように考えています。
形状はオーソドックスな物です。

測定した結果
GAIN:26dB
NF:0.6

こんな感じでした。
普通に使うなら、これで十分かと思います。

NF計のデータは、最良の状態の時のデータです。
使用したデバイスはNE3210S01です。

LNA-BPF1200-5.jpg

LNA-BPF1200-5data.jpg
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2019年09月28日

430MHz帯のプリアンプ基板

以前に製作した430MHz帯のプリアンプ基板の在庫が無くなったので、新規に基板を製作してみました。

基板の材質は、FR-4で厚みは1mmです。
今回はスルーホールを多数開けてた両面基板にしました。
レジスト色を青にしてみました。

LNA-BPF430-201909-1.jpg

結果的にはゲインが約2dB良くなり、約19dBになりました。
周波数特性も良好です。
LNA-BPF430-201909-3.jpg

NFは0.6dB程度でした。
(NFは、ケースに入れないと、環境ノイズの影響が大きく、簡易的にアルミホイルを何重も巻いて測定しました。そのためにNF値は少し荒れています)

LNA-BPF430-201909-6.jpg
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2018年07月31日

エリート無線の直下プリアンプの修理

エリート無線の直下プリアンプの修理

今回はエリート無線の直下型プリアンプの修理を行いました。

このプリアンプは、キットの製品のようです。
重要なプリアンプユニットの部分は完成品となっており、ケーブルやリレーの部分だけ組み立てるようです。

プリアンプユニットはキャビティ構造で、ベタコンでソースがGNDから浮いている構造です。
(単電源でGaAs-FETを動作させる仕組み)

故障の原因は、プリアンプユニットのGaAs−FETが破損していました。

20180731-2.jpg
エリートのプリアンプ

20180731-5.jpg
プリアンプの内部

20180731-7.jpg
キャビティユニット

20180731-1.jpg
測定の結果 ゲイン無し

まず、FETのドレイン電圧と、ソース電圧を測定しましたが、ドレイン側は約2V、ソース側は0.2Vでした。
ソース抵抗は75Ωが入っていましたので、電流はほとんど流れていませんでした。
つまり破損しています。
(ゲートはキャビティの共振棒に付いているので、0Vです)

20180731-8.jpg
キャビティの内部(FETの各部の電圧を測定 やはりGaAs-FETが壊れている)

20180731-9.jpg
外したFETとMGF1303

20180731-10.jpg
FET交換後

GaAs−FETをMGF1303に交換して、動作するようになりました。
ネットアナで見てみると、キャビティでも少し波形が(特性)が変です。

20180731-11.jpg
FET交換後の波形 ゲインは有るが、少し波形が尖っている

詳しく調べてみると、入力オープン時に発振しています。

20180731-12.jpg

電源の回り込み対策と、回路の再調整をして、発振を止めました。
ネットアナの波形も良くなりました。

20180731-14.jpg
再調整した後の波形

ゲインは約18.5dBでした。

これで、修理完了としました。

*ワンポイント・アドバイス
キャビティ型のプリアンプで、ゲイン特性が尖っているような場合は、若干発振していることが多々あります。
この様な状態で、NFを測定すると、とても良い値が出ます。
これは、発振しているとNF計が間違った値を表すためです。
 
実際は、発振気味なので、プリアンプとしてはとてもノイズが多くなります。
一見、ネットアナでゲインが有って、NFが良い値でも、良いプリアンプとは限りません。
(測定機の値は条件によっては、必ずしも正しい値とは限りませんので、細心の注意が必要です)
 
入力がオープンで、発振していないか確かめるのも一つの手段です。
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2018年06月08日

430MHz帯直下プリアンプの製作

430MHz帯直下プリアンプを製作しました。

どうしても、マイクロ波アンプの様な形になってしまいます。

2018-430m-1.jpg

一応、300W(SSB)対応です。
ゲインは約22dB NFは0.6以下

使用している同軸リレーはCX520DのSMAタイプです。

キャリコンは無しで外部コントローラーを使用します。

2018-430m-3.jpg

特性はこんな感じです。

2018-430m-2.jpg
 
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2018年04月20日

10GHz帯LNAの修理

10GHz帯LNAの修理

マキ電機製の10GHz帯LNA修理依頼があり、修理しました。
症状は動作しない様です。
(中古で購入した・・との事です)

蓋を開けて中を見ると、改造?修理した様です。

201804-lna10g-1.jpg
修理前の10GHz帯LNA

SGから-40dBm入力してみると、出力も同じで、ゲインは0dBでした。

201804-lna10g-2.jpg
電源部が怪しい

デバイスはFHX35LGとNE3515S02の2段構成です。

回路全体が汚く、電源周りも怪しいので、基板を外して電源周りの部品を交換することにしました。

201804-lna10g-3.jpg
78N05周り 怪しい ケミコンが浮いている

やはり部品を外してみると、パターンが一部剥離していました。

電源のレギュレーターは78N05でしたが、ここは電流を必要としないので
78L05Fに交換、コンデンサーは全てOSコンに交換しました。

201804-lna10g-4.jpg
修理した電源部 一部パターンが剥離していたので修正

これで電源は問題なくなりました。

VRはやはりガタガタなので、交換
チップ抵抗やチップコンデンサーも交換
SMAJコネクターも傷んでいたので交換

201804-lna10g-5.jpg
電源周りを修理した基板

これで、電源関係は正常に動作するようになりました。

再度、ゲインを調べてみると約10dB程度でした。

ドレイン、ゲート電圧を測ると、初段のFHX35LGのゲート電圧が-0.05Vでした。
つまり壊れているので、NE3512S01に交換

201804-lna10g-6.jpg
これで修理終了 
SMAJコネクターは安く修理するために業務用の外し品、性能は良い


再度調整をしてゲインは約30dBになりました。

ここまで、修理時間は約2時間でした。

蓋を閉めると、ゲインが大幅に減少

ICマットと銅箔テープで処理して、ゲインは30dBを確保

最大出力も10dBm出るようになり、ゲイン特性も良好

周波数特性も問題なく、発振もないのでこれで終了です。
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2018年03月15日

430MHz帯直下型プリアンプ

430MHz帯直下型プリアンプ

最近、ある方から430MHz帯直下型プリアンプを入手しました。
イタリアの製品で新品です。

スペックは
ローノイズ、ゲイン20dB、最大500Wまで使用可能
と記載がありました。

測定してみると、ゲインは13dBで発振していました。
壊れているのかと・・・

分解して内部を見てみると、同軸リレーはトヨツーの基板用で
とても500Wは無理なもの、良くても100Wが限界のスペック。

FETは3SK177で一般的な回路で、NFは1以上(1.5以上か?)有ると思われます。

ゲインは回路構成を見てみると、13dB程度で妥当な様です。
(カタログには20dBと記載)

発振の原因は3SK177のバイアス調整不良と、基板の取り回しが悪いためでした。
回路の改造と調整で、まともに使用できるようになりました。

商品は外観の見た目はよく出来ており、スペック表もかなり良いことを書いているのですが、これでは・・・・?
測定機を持たない一般的なアマチュアの方では、チョット感度が悪いなで終わってしまうかも知れません。

今回、敢えて写真は掲載しませんが、この様な製品も有るのですね。
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2017年11月30日

10GHz帯LNAの製作

マイクロウェーブミーティングには間に合いませんでしたが、発注していた10GHz帯LNA基板が出来たので試作してみました。

最近は何故か10GHzの問い合わせが多いので、作ってみた次第です。

前から構想は有ったのですが、試作無しの設計で、まあ10GHzならどうにかなると思って本番の基板を作ってしまいました。

lna10g-1.jpg

実験の結果は上々で、問題なく使えそうです。

デバイスはいつものNE3515S02で2段構成です。
周波数は10.24GHzで
−50dBmの入力でゲインは26dB以上有りました。

lna10g-2.jpg

NFについては、それ程問題はないと思えます。

今回は、HEMTの保護回路が入っています。
ゲートバイアス(マイナス電圧)が入ってから、ドレイン電流が流れるようになっています。(遅延動作になっています)
簡単な回路ですが、このような動作で、HEMTが壊れにくくなります。

特にフィルター等は無いので、どうしても広帯域特性になってしまいますが、リニアリティは良さそうです。

NFの測定をしてみました。

NF重視で調整した結果
ゲイン:24dB
NF:1.06
の値でした。

lna10g-3.jpg

もちろん、ノイズソースには10GHz帯のアイソレーターを挿入しています。

まあ、10GHz帯LNAのNFとしては問題ない値と思います。
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2016年04月11日

430MHz帯プリアンプ 再調整


久しぶりに、430MHz帯プリアンプを製作しました。
これも以前製作したものを再調整してみました。

キットで製作しやすいように、DIP部品を多用しています。
性能的にはチップが良いのですが、一般の方が作りやすい
様に考えています。

それでも、最新のデバイスですとそこそこの性能が出ます。

簡単に調整して、NF:0.5 ゲイン16dBの値が
得られました。
この基板は殆ど無調整でも性能が出るように製作しています。
MMIC仕様の単電源動作です。

lna-bpf430c-640-1.jpg
ネットワークアナライザーの画面

lna-bpf430c-640-2.jpg
NFアナライザーの画面

NF値が少し波打っているのは、外来電波の影響です。
この手のUHF帯プリアンプは、シールドケースに入れない
と、性能が出ません。
ケース無しでは全く測定できない状況です。

特に屋内はPCやルーター、LED電球、等の発する電波で
大きな影響を受けます。
最近は、電波環境が悪くなり、プリアンプ等の製作には
注意しないと何を計測しているのか解らなくなります。
困ったものです。
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2016年02月09日

新型 1200MHz帯プリアンプの製作

新デバイスで1200MHz帯プリアンプを製作しました。

基板はいつものストリップライン基板で、今回デバイスは初段にHEMT「FHC40LG」を使用して、2段目はMMIC「PGA-103」の構成です。

NF測定は昨年新調したAglentのNFアナライザー「N8973A」とノイズソース「N4001A」(校正済み)で行いました。
この測定機の組み合わせは、かなり正確な値が測定できます。

まず、ネットワークアナラアイザーで調整した後、NFアナライザーで微調整を行い、最良点を見つけました。
中心周波数は1294.5MHzとしました。

測定中、レギュレーターの発熱で、プリアンプのケース温度が30度以上になりましたが、NF値は0.55でした。(ケースを触ると暖かく感じるので、結構な温度と思います)
ケースを暫く放置して少し冷やし、20度近くで再測定した所、NFは0.47まで下がりました。

lna1200bpfdx3-500.jpg

ストリップラインの簡易なLNA回路でこの値はかなり良いとお思います。
本当は回路を変えてもう少し追い込みたい所ですが、再現性を重視して、旧回路構成のままです。

今後、このデバイス構成が1200MHz帯プリアンプの標準としたいと思います。
posted by 7L1WQG at 21:49| Comment(0) | プリアンプ・LNA

2015年10月03日

1200MHz帯プリアンプのNF測定

前回ノイズフィギアの測定について記載しましたが、以前製作した1200MHz帯のプリアンプのNF測定を行いました。

測定機は
ノイズフィギアアナライザ N8973A
ノイズソース N4001A
で測定しています。

1200MHz-NF.jpg

NFは約0.33 ゲインは31dBでした。

基板はいつもの基板で、パターン改造と定数を変えています。
プリアンプの初段デバイスはFHC40LGを使用しています。

もう少し追い込めると思いますが、この辺が限界かもしれません。


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2015年09月29日

ノイズフィギアについての考察−1

以前からプリアンプの実験をしていますが、どうも測定したNF値に納得がいかないことが多々有ります。

以前は測定に、NFメーター8970Bとノイズソース346シリーズを使っていました。
(現在はN8973AとN4001Aの組み合わせです)
結果的には346シリーズのノイズソースに大きな測定誤差要素を含んでいる事が解りました。

これはメーカーの技術資料を読めばよく解りますが、アマチュア無線等で使用されるプリアンプはNFが重視されています。
但しNF重視でプリアンプを製作すると、入出力のインピーダンスが大幅に悪化します。
これは使用している素子(HEMT等)がNF最良の時に50オームにならないためです。

このような状態のプリアンプをENR15dBも有る346B、346C等のノイズソースを使うと、測定値は大抵ほんとうの値より良い値が示されてしまいます。
たとえは実際はNF0.5dB度でも測定値は0.2dBなんて値が出たことも有ります。

これは、NF計がAgilent N8973A等の現行機でもノイズソースがおこす誤差の影響を大きく受けてしまいます。
最近はメーカー(キーサイト)のHPでこの誤差を計算できるようになりました。
下記サイトを参照
http://rfmw.em.keysight.com/NFUcalc

例えばN8973Aに346Bを使用した場合、おおよそプラスマイナス0.25〜0.3dBの誤差を必ず含んでいます。
(校正した機器で適切に測定した場合。条件が適切で無いともっと多くの誤差が出ます。)

*346Bでもアジレント時代の製品とHP時代の製品がありますが、経験的にはHP時代の黒いノイズソースの方が測定誤差が大きくでるように感じます。

多くのプリアンプ、特にキャビティタイプのプリアンプは、入力のインピーダンスが50オームから大きく離れているので、本当のNF値より測定値がかなり良い値を示してしまいます。
これはゲイン特性とは関係なく発生します。
もちろんノイズソース等は校正されていなければなりません。

また346Bは気温の影響も大きく受けます。更に測定機自体の温度にも大きく影響を受けます。

実際にNF値が非常に良いとされるプリアンプを測定してみると、入力のインピーダンスが大幅に悪化している物が多々ありますし、実際に測定してみるとNF値が思ったより良くない場合が多々あります。

ちなみに346A(ENR5dB)を使用すると、測定誤差はかなり改善されますが、それでも計算上NF0.2dB程度の誤差は残ります。

アマチュアでもNF測定の誤差を最小にするために、ノイズソースとプリアンプの間にアイソレーターを挿入して、プリアンプからの反射を抑えて、見かけ上のSWRを低くして測定されている方もいらっしゃいます。
この方法ですと、見かけのSWRが非常に低いので、測定誤差を減らすことが出来ます。
1.2GHz帯では測定誤差を、346Bでも0.13dB程度まで下げることが可能です。
(N8973Aを使用し、出力側のインピーダンスも良好な場合)
この場合は挿入損失が入るので、正確な補正値を入れる必要が有ります。
その挿入損失の測定誤差は0.1dB以内でないと、その誤差がNF測定値に直接影響します。

特にマイクロ波帯のNF測定にはダウンコンバーターを使うので、インピーダンスの影響を最小にしないと、その結果は真値と大きく異なります。

またノイズソースのENR値の誤差は直接測定誤差につながります。
正しく校正していなければ、測定誤差は更に大きくなります。
(システムのキャリブレーションではENR値の誤差は除去できません)
8970A,B等ではもっと誤差は大きくなります。

先程紹介した、キーサイトの「Noise Figure Uncertainty」でパラメーターを色々と変えてみると、システムの測定誤差がよく解ります。

ノイズソースのことですが、「346B」の代わりに「N4001A」を使用すると、測定誤差は非常に小さくなり、入力インピーダンスを合わせた場合、その誤差は0.09dB程度まで下げることが出来ます。

NF測定を追い求める方は、ノイズソース選びは重要なファクターになります。

*Noise Figure Uncertaintyでの計算上の値を使っていますので、実際の測定誤差はもっと多いかも知れません。
*個人的な意見も多く含んでいますので、参考程度にして頂ければ幸いです。


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2015年03月10日

144MHz帯プリアンプの製作(BPF仕様、トラップ付)


今回はマイクロ波ではなく、144MHz帯のプリアンプの実験です。
先日、ネットで面白そうな高周波コイルを見つけたので、実験してみました。

シールドされたこのコイルはTOKOのコイルと思われ、規格等は不明なものでした。
購入してLCRメーターで調べてみると、150nH付近のコイルと解り、144MHz帯の
プリアンプに使えないかと思い、製作してみました。
なお、コイルは片巻で、中心にフェライトコアが入っています。

このコイルはBPFとして使用し、増幅部はMMICを使用しています。
また144MHz帯BPF以外に、430MHz帯のトラップフィルターも設けています。

lna8144-320-1.jpg

入力保護のリミッターダイオードとMMICはチップ部品を使い、その他はDIP部品で
構成しました。
これは、ある程度改造がしやすいように考えてです。
本当は、全てチップ部品でも製作できますが、部品入手と改造しやすさを考えています。

lna8144-320-4.jpg
MMICとリミッターダイオードは背面に設置

入出力はSMAJコネクターです。
基板はFR−4の1mmで、片面基板です。
青い積セラが並んでいて、綺麗です。
(いつも設計時には、性能も良くて綺麗に見える様に、部品配置を考えています)

電源電圧は6V〜16Vで約60mAの消費電流です。(内部は3.3V動作です)

測定結果
ゲイン:約21dB
NF:0.64
430MHz帯トラップは約−40dB(144MHz帯ピークゲインより−60dB以上)

lna8144-320-6.jpg

lna8144-320-5.jpg

設計の値と少しコンデンサーの定数を変更しましたが、殆ど調整しないで製作できます。

lna8144-320-2.jpg
左のピークが144MHZ帯、右の落ち込みが430MHz帯

lna8144-320-3.jpg

コイルのコアを回して、中心周波数を変更できるので、調整も楽で、ちょっとしたお遊びには使えそうです。

次回はNOAA用のプリアンプも製作したいと思っています。


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2014年07月24日

1200MHz帯・新型プリアンプの実験

新しいデバイスを使って、1200MHz帯のプリアンプ 製作してみました。

今まで製作したプリント基板型のプリアンプは再現性は良いのですが、NFはあまり良くあり
ません。
設計が悪いと言われればそうですが、調整が殆ど出来ないので、NFが1dB 以下であれば良しとしていました。

今回は、基板上に空中配線をして、プリアンプを製作してみました。
空中配線ではかなり試行錯誤しなければなりませんが、思ったより良い値がでました。
基板は従来の基板を使用していますが、定数は大幅に変えています。

NF測定については、NF計の表示値は信用できないことが多いので、今回は 慎重に測定してみました。
ノイズソースは新たに入手したAgilentの346Aが2本あるので両方で比較測定しました。
念のためにノイズソースとLNAの間に方向性結合器を挿入して、入力側の反射を吸収しています。

以前も記載しましたが、LNAプリアンプの入力側のSWRが悪化すると、NF計が良い値を表示することが有ります。

ネットアナ、スペアナを使って、発振等がないかも調べています。
(発振が有ると、NF計が良い値を表示してしまいます)

lna1200-3.jpg

何度か測定しましたが、表示は写真の様に良い値を示しています。
最良の時はNF:0.20の値が出ていました。

lna1200-1.jpg

TS790とSG(ATT内蔵)でCWモードで−140dBmの受信も問題なく出来ました。
SGのレベルを変化させても、スペアナ、TS790共にレベルがリニアに変化します。

NF計の値が本当に正しいかは解りませんが、今までのLNAよりは性能がかなり良さそうです。

lna1200-2.jpg
(左の黒いのは電波吸収材)

サンノイズ測定等で追試しなければ、本当の性能(能力)は解りませんが、当方では設備が無いので測定できていません。

使用デバイスはFHC40LG+GALI−S66です。

デバイスを含めて、空中配線ですので、再現性は良くないかもしれません。
ただし、色々と調整が出来るので、その点は良い所です。
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2014年05月14日

5600MHz帯プリアンプ

先日、新しいデバイスを入手したので、プリアンプ(LNA)を製作してみました。
デバイスは旧NECのNE3515S02というGaAs-FETです。

セブロン電子さんのLNA基板に実装して、スタブで簡単に調整して見たところ
GAINが37dBもとれました。(FET2段構成です)
1段あたり18dB以上のゲインです。

NFは追い込まなかったので、1.3dB程度でしたが、中々良さそうなデバイスです。

飽和出力は−20dBm入力時に15dBm出力でした。(5760MHz)

試しに2245MHzで−10dBm入力すると、4490MHzで
1〜3dBmが得られました。(無調整です)

このデバイスで色々と実験してみたいと思います。


lna5700-ne3515s02.jpg
完成したプリアンプ

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2014年02月10日

プリアンプと同軸リレー


先ほどの記事で同軸リレーについても記載しましたが、同軸リレーのアイソレーション
について書きます。

同軸リレーの性能ですが、主に最大通過電力の値に囚われがちです。

高周波同軸リレーに求められる性能は、アマチュア無線では

・最大通過電力
・アイソレーション
・動作電圧

この3点は見ておきましょう。

特にプリアンプに使用する場合は同軸リレーのアイソレーションは重要です。
同軸リレーのアイソレーションは使用する周波数で値が違ってきます。
この値は同軸リレーのデータシートに記載があるので、よく読んでください。

例えば1200MHzで30dBと記載があったら、通過ポートから他のポート
(NO、NCポート)間の電波の漏れは−30dBであるという意味です。

−30dBとは対数表記なので、整数に直すと1/1000で千分の1
漏れるという事です。
但しインピーダンスが50オームの時でSWRが1.5とか2.0などではかなり
悪化します。

例えば10W送信した場合、漏れは10W×1/1000となります。
つまり10mW漏れます。(SWR1.0の場合)

プリアンプ素子の最大入力は1mW程度なので、漏れが10mWは多すぎますし、
最悪の場合はプリアンプ素子が壊れてしまいます。
その為に漏れは(アイソレーション)は1mW未満になるような値でなければ
なりません。
つまり必要なアイソレーション値は40dB以上で、余裕を考えると50dBは
欲しいところです。

もしプリアンプを自作して故障が多い場合は同軸リレーのアイソレーションを見直し
てみると良いでしょう。

同軸リレーの通過電力が100W以上あっても、アイソレーションが30dBなどでは、プリアンプに使うことは、あまりお勧めできません。

お勧めできるのは、どの周波数でも、使用する周波数においてのアイソレーション値が

出力1Wまで   30dB以上
出力10Wまで  40dB以上
出力50Wまで  50dB以上
出力100Wまで 60dB以上

です。
(プリアンプにリミッター素子が有る場合は、別途計算すること)

同軸リレーの選定をする時にはアイソレーション値も見ることをお勧めします。


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2013年02月19日

プリアンプキット製作の注意点

1200MHz帯プリアンプ「LNA−BPF1200」シリーズの製作においての
注意点を記載します。

他のプリアンプも基本的には同じですので、よろしければ一読してください。

プリアンプと言っても、これは一般的な高周波増幅回路と同じです。
まずは、高周波回路の基本的な注意をして製作して頂ければ特に問題はありません。

いずれにしても、この基板は高周波回路が理解できる、中級者、上級者向けとなります。

すでに高周波回路を理解できている方は、読まなくても、ご存知のことも多いと思いますが、
初心者向けに、注意点を記載したいと思います。

まず、パーツ実装済み基板を例として記載したいと思います。

lna1200bpfCX-210-1.jpg

パーツ実装済み基板にはGaAsFETが付いていません。
推奨はFHX35LGですが、それ以外にMGF1302、FHX76LP、等々
LNAに使われるGaAsFETなら、大体は使用できます。
(GaAsFETによって多少調整が必要)

fhx35lg-160.jpg
FHX35LG

GaAsFETを慎重に取り付けてください。
静電気に弱いので、特に冬場は注意してください。
安易にGaAsFETに手で触れると、静電気で簡単に壊れてしまいます。
部屋の金属部分(窓枠など)に触れて、放電してから作業しましょう。
ピンセット、ハンダこてを使う場合も、静電気に注意してください。

作業する机に静電気防止マットを敷いて、リストバンドを使い作業すると最適です。

冬場などは、部屋に加湿器を使って湿度を上げるのも良いでしょう。
濡れたタオルを吊り下げても、多少の効果が有ります。

また、GaAsFETは熱にも弱いので30Wクラスのこてと低温ハンダをお勧めします。
ソースからハンダすると良いと思います。

JP位置は、パーツ実装済み基板には、MMICが付いていますので、今の位置でご使用ください。

GaAsFETを付けたら、基板は必ずシールドケースに入れてください。
専用ケースとSMAコネクターの使用をお勧めします。

専用ケースより基板がほんの少し大きいことがあります。
丁度のサイズになるように、ほんの少し基板の周囲を紙やすり等で削ってください。

基板は薄く弱いので、基板に無理な力が加わると、実装しているチップ部品にクラックが
入って、故障することがありますので、注意してください。
金属ケースにはネジで止めてください。
本当に、細心の注意をして作業してください。

専用ケースには貫通コンデンサーが有りますので、そこに電源線をつなげて下さい。

基板はマイクロストリップラインになっていますので、インピーダンスが乱れないようにしてください。

コネクターの中心ピンがチップコンに当たらない様に、長い場合は必要に応じてカットしてください。

smajr2-160.jpg
SMA−R2

安易に同軸を二股に撚って付けたりすると、大幅に性能が劣化しますので、もし同軸を直接使う場合は、テフロン同軸をハンダメッキするか、セミフレキ、セミリジッド(2mm程度の太さ)をお使いください。

調整はコイルとトリマー(BPF部)とVR(バイアス)を動かして、最良の位置を探してください。
場合によってはコイル幅の調整とオープンスタブ等も使ってください。
トリマーはセラミックドライバーを使うと、金属の影響を受けないので便利です。

セラミックトリマーですが、セラミックドライバーを使用して調整します。
メーカーによっては、マイナスの薄いのが無いので、セラミックドライバーの先を耐水ペーパーで削って使用します。
それ以外には、アクリル棒を薄く削って使う方法もあります。

セラミックトリマーを金属ドライバーで調整すると、金属の影響を受けて上手く調整できないので、非金属のドライバーを使用してください。


ネットワークアナライザー、またはスペアナで調整することをお勧めしますが、
無い場合は、無線機に接続して弱い電波で調整してください。(絶対に送信しないこと)
無線機を使う場合は、ノイズ・ジェネレーターを使うと、受信音で調整できます。

lna5700-2.jpg
(これはネットアナで5700MHz帯のプリアンプを調整した画面です。)

セラミックトリマー等は何度も回すと壊れますので、注意してください。

ネットアナ、スペアナで調整する場合は、ゲインのピークを少し低めの周波数(1280MHz付近)に調整すると、NFが良くなります。

バイアス電圧、トリマー、コイル、を順に繰り返し調整して、最良点を見つけてください。
ネットアナ、スペアナ等で調整するときの入力レベルは−50dBm以下にしてください。
ケースの蓋を閉めたときに、発振していないか再確認してください。

蓋を閉めたときに、プリアンプの特性が大きく変化する場合は、コイルの幅を調整したり
回路上にオープンスタブを置いて、再調整してください。
回路のマッチングが良くない場合に起こることがあります。
なるべくゲインが上がる方向に調整をすると、NFも良くなります。


直下プリアンプ、卓上プリアンプとして使用する場合

リレーは必ず同軸リレーを使用して、1200MHz帯でアイソレーションが40dB以上有る同軸リレーをお使いください。
(詳しくはリレーメーカーにお問い合わせください)
これは、スルー回路に10W通過したときに、漏れ電波が1mW以下にするためです。
10W=40dBm 1mW=0dBm (近似値)

オムロンのG6Y−1はでも性能的には大丈夫ですが、メーカーの指示通りの基板を使わないとアイソレーションは悪化しますので注意してください。

中古でよいので、SMAタイプの同軸リレーをお勧めします。
大抵、このタイプでしたらアイソレーションは40dB以上有ります。

HCS2-110F-210-1.jpg

同軸リレーは2個必要になります。また接続(内部配線)の為にSMAP付きの同軸ケーブルも必要です。


プリアンプは電源が入っていなくても、過入力があると壊れます。
1mW以上を入力すると、場合によっては一瞬で壊れることがあります。

必要に応じて、リレーの遅延回路とプリアンプの保護ダイオードを設置してください。
保護ダイオードはサージ対策にも有効です。(リミッターダイオード)

設置場所は、入出力の端子部分です。
センターピンとGND間にダイオードをアンチパラレルに挿入します。

保護ダイオードを挿入すると、GaAsFETの前に容量成分が多くなり、
パラメーターが変化します。その為にダイオードをつけた状態で再調整してください。

ダイオードは、端子間容量が少ない製品の高周波用ショットキーバリアダイオードをお勧めします。
推奨は1SS99、1SS97、1SS315、1SS295等です。
もちろん、高周波用リミッターダイオードを使えば最適です。

1ss295-210.jpg
1SS295高周波用ショットキーバリアダイオード

1ss99-160.jpg
1SS99高周波用ショットキーバリアダイオード


しかし、高周波用でないダイオードを使うと、プリアンプは動作しなくなります。
(ダイオードの端子間容量が大きいと、高周波回路的にはショート状態になります)


無線機のアクセサリー端子のSEND(PTT)を直接使っても、リレーの動作前に
送信電波がプリアンプに到達するので、注意が必要です。
(ケンウッドのTS2000にはPTTの遅延設定があります)
それ以外の機種では遅延回路を組まれることをお勧めします。
プリアンプ+遅延回路で検索してみてください。

遅延回路の動作
1.PTTを押す
2.同軸リレーがスルーに切り替わり、プリアンプがOFFになる
3.無線機が送信を始める。



プリアンプをケースに入れた後は、同軸の接続ですが、必ずN型コネクターを使用して
ください。
M型コネクターは1200MHz帯では損失が大きいので、プリアンプの性能が劣化
してしまいます。もちろん送信電力も減ってしまいます。
同軸ケーブルもFBタイプかSFAタイプで、コネクターはN型にしましょう。
同軸ケーブルが20m以上必要な場合は、10D以上の太さのケーブルをお勧めします。
10D−SFA、12D−SFA、等がお勧めです。
1200MHz帯では発泡系の太いケーブルを使いましょう。
(コネクターは高周波性能的にはSMA、TNCでも良いのですが、太いケーブルが使えないので、N型しか選択肢がありません。)




プリアンプ設置後の一般的な注意

プリアンプを設置して使う場合、他のアンテナであっても、動作中に送信しないでください。
周波数が違っても、強力な電力がプリアンプに入り込み、壊れることが有ります。

同様に、マルチバンドアンテナでの他バンドの送信、デュプレクサー等で他のアンテナと共用するのは止めましょう。
やはり、漏れ電波(電力)がプリアンプに入り込み、壊れることが有ります。
特にデュプレクサーのアイソレーションは設置状況で十分な値が取れないことが有ります。

プリアンプ動作中に安易にアンテナに触ると、人体の静電気でプリアンプが壊れることが有りますので、注意してください。

プリアンプ動作中には、空S(カラエス)は5近く振ります。これで正常です。
どんなにNFが良くても、必ず空Sは必ず振ります。

空S:電波を受信しなくても、無線機のSメーターが振れる事

これは、プリアンプのノイズでだけではなく、空中に有る雑音も増幅するためです。
(熱雑音、都市雑音、等々)
但し、目的の電波は、より良く聞こえます。
S/Nは大幅に向上し、弱い電波も良く聞こえるようになります。

以前も記載しましたが、

・プリアンプは極力アンテナの近くに設置する。
・アンテナからプリアンプまでの同軸はなるべく低損失の同軸を使う。
・アンテナは、なるべくゲインと指向性が良いものを使う。


これが、肝心です!

posted by 7L1WQG at 20:37| Comment(0) | プリアンプ・LNA