先日改造した1200MHzリニアですが、持ち主からパワーが出ないと
言われました。
手持ちのSWR計で計ると60Wしか出ていない!との事です。
確かに、100Wの出力が有る事は確かめたのですが、不思議です。
とりあえず、もう一度リニアと、SWR計をお預かりしました。
早速確めてみると、パワーが85Wしかありません。
原因は内部配線(同軸)からのRF漏れでした。
お渡しした時には、確かに100W出ていたのですが、内部配線の微妙な位置のずれで
大きくパワーが変化してしまったようです。
内部の同軸を触ると15W以上もパワーが変化します。
仕方ないので、内部の主な配線にシールドテープを巻きつけて、対策をしました。
対策後は安定したパワーが出るようになりました。

シールドした内部配線
入力電力ですが、8Wあたりから飽和して来るようでした。
電圧は13.8Vになるようにしています。

安定化電源によっては、電流を流すと電圧が下がる機種が有りますので、電源電圧の
監視は必ずしなければなりません。
電源電圧が0.5Vも下がると、リニアでは10%以上もパワーが下がる事が良くあります。
また、古い機種ですと同軸リレーも劣化してきています。
このリニアも同軸リレー関係が怪しそうです。何か不安定な感じがします。
パワーが増えると、接点電流が流れるので、一気に劣化が進むことがあります。
出力が不安定な場合は、同軸リレーも疑った方が良いでしょう。
古い機種は、1箇所を直すと、他の場所が悪くなる事が多々あるので、ある程度で
諦めるしかありません。
リレーの交換は行いませんでした。
今度はパワー計の測定をしました。
まず、リニアから100W出ている事を確めます。

その後、SWR計に入れ替えて測定しました。

1200MHzの200W設定
写真からも解るように、明らかにパワーが低く表示されています。
誤差は20%以上!
これは、1200MHz帯で100Wの出力を測定するように、作られていないからです。
同じように出力を50Wに設定して、測定してみました。


これも明らかに低く表示されます。
一見、比例して低くなっているように見えますが、何回か測定してみると、5W以上
表示のばらつきが見られました。
もちろん、SWR計もかなり古い物ですので、仕方ない事です。
逆にバードのパワー計はかなり正確に表示されます。
500Wレンジで2Wの誤差もありません。
精度は1%以内と思われます。
今度は10Wで測定してみました。

高級なパワー計で測定しています。(センサー、本体共に校正しています)

1200MHzの20W設定
今度は11Wになりました。
誤差は10%以上!
お分かりのように、アマチュア用のSWR計は目安にはなりますが、絶対値としては
問題が有ります。
特に1200MHz帯ではEMEでもない限り、10W以上の出力は出さないので
SWR計も対応できない物が多いようです。
他のSWR計も測定してみましたが、15%程度の誤差が有りました。
私が持っているSWR計、安定化電源も実測値と表示が違う事が多々あります。
絶対値と思わず、目安と思った方が無難です。
それ以外、安定化電源、同軸ケーブル、ダミーロード、等々の性能で測定値は大きく変わってしまいます。
全ての環境が揃っていなければ、正確な測定は出来ませんので、大きな誤差を含んでいると
予め思っていましょう。
本当の値を調べたいのであれば、校正された正しい測定機を揃えましょう。
アマチュア的には、バードのパワー計が良さそうです。
エレメント交換で数mW〜数KWまで測定できます。
最近は円高で安くなっていますので、1台は買っておくと安心できるでしょう。
posted by 7L1WQG at 15:44|
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